仁露×温子 狼なんか怖くない2007/06/09(土) 21:57:08 ID:hPEdNWhN



とある奇妙な冒険譚をこよなく愛する少女、麻仁温子。
そんな彼女が3年になって創立した部がジョジョ部である。
『亀を部室で飼う』
『文化祭に向けてチーズの歌のバンドを組む』
『グラスのワインを零さないように体育の授業を受ける』
ジョジョを語り合ったり読んだりこんな感じの活動をしながら、彼女と部員達は楽しくやっていた。
そして時はあっという間に進み、もう暑くなってくる季節になった。
今日の活動も終わって皆解散して、日も暮れてきた頃に廊下を慌てて駆ける一年生…間界人がひとり。
「わ、わ、わ、忘れ物!早く取りに行かないと…」
珍しく忘れ物をしたので同居人二人を先に帰らせて取りに向かっているのは脳噛ネゲフンゲフン押上仁露。
息を切らせて部室の扉を開ける。当然、もう部室には誰も居ないだろうと思っていた。
「……あ……?」
部室には誰もいなかった。『彼女』を除いて。
『彼女』は、開いた窓から外を眺めていた。
夕陽に照らされたその姿はいつも以上に眩しく、まさしくあたたかい輝きの中にいた。
仁露は思わず息を呑んだ。なんとなく、邪魔になると思った。
このまま「ごゆっくりぃ!」とか言って出て行きたいような気分に駆られたが、それも出来ずに立ち尽くした。
どの位彼女を眺めていただろう。数分か、数十秒か、それともパスワードになりそうな程の刹那か。
一点に夕焼けを眺めていた『彼女』が、彼の方を振り向いた。
「…あれ?どうしたの、押上くん?なにかお探しかね?」
「あ、いえ…その、すみません、部長」
「謝る事はないと思うけど…」
『彼女』…ジョジョ部『部長』麻仁温子は、不思議そうな表情で仁露を見つめた。
「僕は…忘れ物を取りに来たんです」
「ああ、あったね、そんなの。これでしょ?」
そう言って温子はテーブルの上に置いてあった忘れ物を渡す。
「あ、ありがとうございます。それと…」
「もー、駄目だよ、こういう時はちゃんとディ・モールト・グラッツェって言わないと。
 今度から気をつけてね?で、それと…何?」


「あ、いえ、大した事ではないんですが…その、何でまだ残っているのかと思って」
「ああ」
その問いに温子はふっと笑って、また夕陽が差し込む窓の外の方へ向き直った。
「私、三年生だからもうすぐ部活動終わっちゃうでしょ?
 百手くんと阿久津くんと安骸寺くんと笛路さんもだけど」
風が窓から部室に吹き込んで、温子の髪がなびいた。
「だから…もっと見てたいと思って。ここの風景、全部」
そして温子は少し寂しげな表情で、また仁露の方を向く。
「私ね、今まで本当に気が合う友達ってあんまりいなかったんだ。
 だから、ジョジョ部のみんなと活動してたこの3ヶ月間は楽しくて…
 あまりにも楽しかったから、時間が過ぎるのが『加速』してるみたいに早かったよ」
仁露は胸に痛みを感じた。
(………そんな顔)
そして、温子はいつもの笑顔になる。
「私、ジョジョ部のみんなに会えて本当に良かったって思ってるよ!
 もちろん、押上君にも。あんなに凄いの見れちゃったしね!」
『明るい』と言うより『無邪気』と言った方が似合うような、愛らしい笑顔。
初めて出会って、恐れられ忌み嫌われる姿を受け入れてくれた時からずっと、変わらない笑顔。
その笑顔が胸を更に痛くする。
(そんな顔、しないで下さい)
これ以上思い込めなくなってしまう。
彼女に抱くこの感情は、受け入れられた嬉しさによる擬似的なものだと。
必死で自分にそう言い聞かせてきた。
擬似的なものなどではなく本物だと認める事は、そのまま彼女を傷つける事に直結してしまうから。
「ねえ、押上くん。押上くんはどう?今、楽しい?」
温子が歩み寄って仁露の顔を覗き込む。そして彼の『何か』が、はじけた。
無意識のまま、その小さな肩を掴む。強く、強く。
「押…上くん…?」
驚いたような、怖がっているような声で仁露の理性は再び動き出した。
(限界だ…もう。去らなくてはならない。ここから、今すぐに)
いつも穏やかな仁露の表情が険しくなる。そして、血を吐くような声を紡ぎだした。
「僕は…もう、この部を辞めようと思っています。
 僕はここにいてはいけない。部長の傍に…いてはいけないんです」
朝練の時も、ジョジョ話に興じている時も、何をしていても彼女を見てしまう。
その度に必死になって自分を追い詰めた。この無邪気で明るい、素直な少女の心と体を傷つけたくないばかりに。
狼男の間界人としてのこの能力は自分で制御する事が出来ない。
だから、遅かれ早かれ起こるであろう暴走を止めるためにも、温子からは離れなければならないと思っていた。
ふと、温子が自分の肩に置かれた手を取った。
「押上くん、嘘ついてる」
真っ直ぐ、真っ直ぐに仁露の眼鏡の奥の瞳を見据える。
「だって押上くん、凄く楽しそうだったよ。ここにいたくないなんて思ってない顔してた」
そして取った手に口を近づけ、手の甲にほんの一瞬ほどその唇が触れた。
「この味は…ウソをついている『味』だぜ、押上仁露」
仁露の脳裏に彼女と初めて会った時の光景がフラッシュバックした。


(ああ、やっぱり。この人に嘘をつくのは…『無駄』な事だ)
「部長には敵いませんね……でも、僕はこのままだと本当に自分が抑えられなくなります。
 僕の『あの姿』を知っているでしょう?あんなものに貴方を傷つけさせたくないんです」
仁露は自嘲気味に笑った。しかし次の瞬間、温子の口からは彼には信じられないような言葉が発せられた。
「知ってるよ…でも、そんな事なんかでいなくなっちゃ駄目だよ!」
そして、その手が仁露の顔に向かって伸ばされた。
「私は大丈夫だから…狼に変身しても、押上くんは押上だから、受け止めてあげたいんだよ」
そして、仁露の理性が…灼き切れた。
その場に膝をつき、その体が震えだす。
「駄…目です…部長、考え直して…僕は…僕は、もう」
一瞬だった。その言葉も言い終わらないうちに、仁露は狼に変身した。
「押上君………きゃっ!?」
飢えきった獣の眼が温子を捕らえ、次の瞬間に彼女を押し倒した。
「え、と、これって…その、つまり…そういう事?」
狼の爪が夏服のシャツを捕らえ、ボタンが弾け飛ぶ。
「『驚かして……すまない』って訳にはいかないんだよね…やっぱり」
少し震える手で『仁露』の大きな手の獣毛を撫で、温子は意を決した。
「…わかった。いいよ、押上君。『覚悟』…するから」
その言葉に答えるように、『仁露』はいきなり温子の顔を舐めあげた。
「きゃっ!?…あ、ちょっ、く、くすぐったいよ」
その様子は、大型犬に「ククーン」とあまえてじゃれつかれている様な光景にも見える。
「あははは…本当にく、くすぐった……あっ」
ふと視線を移すと、『仁露』は彼女のブラジャーを爪で引っ張っていた。
このままだと無理矢理引き千切られてしまうだろう。
一瞬の間に温子は思考を巡らせ、顔を赤らめて呼びかけた。
「…うん、わかった。外すから…ちょっと待って」
その言葉を理解したのか、押し倒していた『仁露』の体の重圧が軽くなる。
彼女は「D・V・D!」と連呼されながらする様に、おずおずとブラジャーのホックを外した。
「…っ」
そして『仁露』は、小さく獣の唸り声を上げてからブラジャーを剥ぎ取った。
すぐさま齧り付くように露わになった乳房を大きな舌で舐める。
「ひゃ…あっ」
ぴくんっ、と温子の体が小さく震える。


(くすぐったい…けど、何か変な感じ)
そして『仁露』は胸の柔肌を幾度か舐め、偶然なのかその舌がある『一点』を這った。
乳首ではない乳房の先端部分…温子本人の言葉を借りるとするならば、『星型のアザ』の部分だ。
『アザ』を狼の舌が滑った、その瞬間。
「!?い…っ、きゃあああっ!」
肌の部分を舐められた時とは全く違う衝撃が体に走る。びくんっ、と温子の体が跳ねた。
(な…なにこれッ!?ア、アザのとこ、舐められたら…ビリっときたああああ!って感じになって…)
その反応を感知してか、『仁露』は爪で切り裂かない程度の力で胸を掴みながら『アザ』を何回も舐めだした。
「ひうっ、はっ、やっ、やうううっ!」
あまりにも強い未知の感覚にがくがくと肩を震わせる。
「お…かみ、くんっ、私何か変だよ、アザのとこ…舐めたらっ、ひんっ、あうぅっ」
真っ赤な顔で涙目になって首にしがみついてくる温子。
『仁露』が、彼女そのの乳首をその牙で甘噛みした。
「きゃ…あ、やああああああああっ!」
頭の中で何かが弾ける。
追い討ちのごとく大きな獣の舌に吸い付くように乳頭部を器用に舐め、頭がフットーしそうになった。
「は、あ、あんッ、私、私っ…おかしくなってる、よぉ、ひゃうぅっ!」
最高に混乱している意識の中で、温子は『仁露』が手をある場所に移している事に気付いた。
「あ……ス、カート……?」
外し方など考えられないのだろう、力任せにスカートを引いていた。
この行動が何を意味するのかは、こういった事に疎い人生を送ってきた彼女にも『心』で理解できた。
(そういえば…何かスカートの中もおかしい…)
少し頭が冷えたら、下半身に感じる妙な湿り気に気付く事ができた。
体の熱と心臓の暴走した鼓動が止まらない。もう逃げる事も、戻る事も出来なかった。
一拍置いて、途切れ途切れの声を出した。
「う…ん、わかった…いいよ、押…上、くん…私は大丈夫だから…」
その言葉に答えるかのように『仁露』の動きが止まる。
ゆっくりと金具をかちゃつかせ、温子がスカートを下ろす。
「……あ……」
自分で下ろそうとする間もなく、『仁露』が狼の手で器用に下着を引き下ろした。
改めて自分がボタンの外れたシャツの他には何も着ていない状態になっている事を意識して、
温子は恥ずかしげに身をよじった。


『仁露』がその花弁に匂いを嗅ぐように鼻を押し付ける。濡れた狼の花と獣毛が秘部に擦れた。
「ひっ!?や…はぁッ!」
そしてべろべろとそこを舐め始める。『仁露』の唾液と温子の蜜とが小さな水音を立てた。
その舌の動きには人間がするそれのチェリーを舐めるような精密動作性はない。
しかし、『経験』のない温子にとってはそれは十分すぎる未知の感覚だった。
「あっ、やっ、ダメ、そこはっ…あ、んっ、ひゃうんっ!」
身体全体がぶるぶると震える。下半身の『そこ』を中心に身体を溶かされているようだった。
舌と獣毛が与える刺激に耐える術はなく、少しずつ、少しずつ花弁から蜜が溢れていく。
「あ……!お、かみ、くん、それ…」
温子はある事に気付いた。
いつの間にか『仁露』の下半身が露出していた。
彼の獣のそれと化した肉棒は猛々しくいきり立ち、目の前の仔ヤギを喰らおうとしていた。
温子の頬が更に熱くなる。こんな状態で現実感があまりなかったが、
それでも『下がスタンド』な場面を間近に実際に見てしまうとかなり恥ずかしかった。
少しだけ沈黙が流れた。そして、温子が『仁露』の腕をきゅっ、と掴む。
当然恐怖はあった。『初めて』は凄く痛いという事位知っている。
しかし彼女はこの瞬間、恐怖を我が物とする『覚悟』をした。
「うん、…大丈夫…。来ても、いいよ。押上くん…」
『仁露』の耳がぴくりと動く。次の瞬間、『仁露』の身体は温子の身体にぴたりと密着した。
そして、獣の肉槍が温子を…貫いた。
「ひぐっ…!くあ、あああっ、痛、痛いッ…!」
花弁が濡れているとはいえ、想像を絶する激痛。温子の目から涙が零れた。
二人が繋がった部位から破瓜の血が流れる。
「あ、あああ、ひ、くうぅっ!」
涙を流して苦痛の声を漏らす彼女の姿が『仁露』の瞳に映った。
理性なくただ欲望のままに動くはずの狼男。
その彼の動きがひたりっ、と止まった。
「押上くん…」
荒い息をつきながらも、温子はしっかりとその『仁露』を見据えた。
「…やっぱり変わってないんだね、そういう気を使って、引いちゃう所…」
そう言って彼女は『仁露』の身体を抱き締めた。
以前苦痛は止まっていない。しかし温子は、優しく優しく笑った。
「こわいのは…いたみじゃあ、ないよ、押上くん…私は大丈夫だよ。
 押上くんの全部、受け止めてあげたいから。…来て」


クゥー…と『仁露』が喉を鳴らした。少しの間沈黙する。確認を取るかのように。
そして、『仁露』は突き進んだ。温子の身体の、もっと奥まで。
「く…あ、ああ!んっ…ふ、ぁ」
『仁露』は激しく腰を動かした。二人の身体が揺れる。荒い息遣いまでもが溶け合う。
「はっ、くぁ、あああっ、ん…はあんッ!」
苦痛の中に別の感覚が生まれる。その都度、鼓動は早まる。
(これが…『気持ちいい』って事なのかな…?)
温子がしがみつくのも意に介さぬかのように『仁露』の躍動は激しくなる。
それと同時に顔を上気させた温子が声を漏らす。
「や、あ、あああんっ、く、はあ、ふああっ、んうッ!」
ほんの先刻まで処女のそれだった花弁が絶え間なく肉棒を締め付けた。
やがて『仁露』が狼の吼え声をあげ、身体を大きく震わせた。
温子も『何か』が自然と感じ取れた。
―――どぐんっ!
「――あ、はあっ、ふああああああああああああああっ!」
『仁露』から一気に最奥をめがけて白濁液が放たれた。
進入した精液がどんどん進入していく。
しばしの間、そこから温子の意識は途切れていた。
どの位時間が経ったのかは正確には判らない。
己の欲望を吐き出しきった『仁露』…いや、仁露がその自分の意識を取り戻した時には日が沈みかけていた。
ぐったりした温子をなるべくそっとしておくように気を使いながら後始末を終えた。
そしてまだ残る夕陽に照らされた『部長』を見つめる。
「部長……」
とうとう彼女の身体を汚し、傷つけてしまった。
いっそ変身中の記憶など残らなければ良かったと切に思った。
自分が悪い事は解っている。自責の念に駆られて泣くのはお門違いだとも思っている。
しかし眼鏡の奥の瞳は潤む。彼女が愛しいと、はっきり解ってしまったから。


「…お前は次に、『ごめんなさい』と言う」
「!?」
温子が目を開けて薄く笑いながらこっちを見ていた。
「ほら、やっぱり言おうとしてた。いいんだよ、苦しくならなくても。
 私がいいって言ったんだよ?だから、大丈夫」
「…しかし、僕は…貴方に取り返しのつかない事を…」
「いいんだってば。…ねえ、押上くん。私、こういう事するの見ての通り初めてだったんだけど…
 でもね、あんまり…嫌じゃあなかったんだ。これってもしかしたら、
 私が好きって事なのかもしれない。…押上くんの事」
「……え?」
思いがけぬその言葉に、思わず仁露は呆けた表情になった。
温子は今度は顔を赤くして、慌てたように言った。
「あ、ごめんね。何かはっきりした言い方じゃなくて…私、こういう事全然解らなかったから」
そしてその次は、はっと何かに気付いた顔になる。
「ああ、でもどうしよう?承太郎さんと押上くんのどっちを一番にしたら…
 うーん、でもナンバー1よりナンバー2ってホル・ホースも言ってるし…
 えーと、んーと、えっと」
本気で悩んでいる顔。改めてよく表情が変わる娘だと仁露は思った。
子供みたいだな、と思わず笑ってしまう。
「もー、笑わないでよ、真剣に考えてるんだから…あ、そうだ!」
また、温子はあの顔になる。いつもの明るく愛らしい、仁露が一番見たかったあの笑顔。
「もう大分日が暮れちゃってるんだね。…帰ろっか、一緒に?」
「え…い、いいんですか!?」
「うん!さっ、行こう!」
そう言って温子は部室の外へと駆け出した。
そして慌てて後を追おうとする仁露の方を振り向いた。
「…でさ、さっきので私に何かあったら…『責任』取って貰うのもいいかな、
 なんて言ってみたりして…フフ、あはは」
その時の彼女の笑顔は、仁露にとっては二度と忘れられないものだった。
たとえ自分が間界に帰る事になろうとも、きっと、決して。
「……はい」
仁露も駆け出す。そして未だ二人の熱と残り香が僅かに残る部室には、今度こそ誰もいなくなった。


<了>



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