悠×あいす×翠【黒遊戯】
2006/06/18(日) 19:40:17 ID:N0YIYuv0



「ねえ精子、私可愛いわよね」
その日の放課後、間界の魔女、翠は女子トイレの鏡の前で髪を梳きながら一人言のよう
に呟いた。
「大丈夫、翠たまは可愛いタマ」
こればかりは、精子もどう返したらいいのか分からないらしい。
それもそうだろう。今日は特別変わったことなどなかったのだ。そう、魂の片割れだと信じ
きっている悠との間には今日もこれっぽっちも。これもみんな、あの王子のせいだ。そう思
って色々手を尽くしているのに、これまで何の効果もないのが腹立たしい。
これまで自分の思い通りにならなかった男など一人もいなかったから、尚更だ。
そんな時のこと。
「あら」
すっかり人気のなくなった校内だったが、誰かがトイレに入ってくる気配があった。何の感
情もない声。
「こんなところで出くわすとはね」
悠と同じクラスのあいすだった。
「だから何よ。ここは誰でも来る所じゃないの」
「まあそうね。ところで」
氷のように整った冷たい美貌が一瞬醜く歪んだ気がしたのは、気のせいだったのだろう
か。後から考えればその勘は正しかったのだが。
「明日のこの時間、三階の視聴覚室に来てくれないかしら。悠が用事があるって」
「えっ?」
まさか、この冷たい上級生の口から恋焦がれる悠の名前が出てくるとは思わなかった。
一瞬何を言われたのか分からなかった翠だったが、すぐにそれは相変わらずの自分に都
合のいい解釈に摩り替わった。自分に用事があるというのは、もちろん愛の告白だろう。
男女間ならそれしかない。
これまで散々男たちを手玉に取ってきた翠にとって、それ以外の選択肢などひとつもなか
った。実界人でも間界人でもそれまでの経験で全てを判断してしまうものらしい。


翌日の放課後、別棟三階にある視聴覚室に翠はうきうきしながら出かけていった。あらか
じめ念入りに身だしなみを整えて。やはり、自分の魅力に悠が気付いていない筈がなか
ったのだと自信を深めて。
視聴覚室の前で深呼吸をしてドアを開こうとした時、中から異様な声が漏れ出ていること
に気付いた。そうっと様子を伺うと、こともあろうにあいすが立ったまま壁に縋りついて悠
に後ろから貫かれている。
あまりの驚きに、目が見開かれた。
「あ、ぁ…んん、いい、すごくいい…硬いのっ…」
成績優秀、完璧なあいすの声が淫楽にまみれてじっとりとあられもなく濡れている。制服
から剥き出しになったささやかな乳房を掴みながら腰を使っている悠は、こんな時でも平
静そのものの表情と声だ。
「全く淫乱な女だ」
「そ、そんなことぉっ…いや、いやぁああん!!!」
既に限界が来ているのだろう。一際大きく叫んで激しく体を震わせた後、あいすの動きは
急に止まった。少しして悠も達したのだろう、ずるずると崩れる体が引き離れていくのをや
はり無表情で見下ろしていた。
あいすの真っ白な内股から伝うものが、今までしていた行為を教えている。
どうして、こんなことを。
目の前の場面が信じられなくて、翠はついドアを開いて中に入ってしまった。
「悠様!」
「……意外と遅かったわね」
床に崩おれているあいすが翠の姿を認めて視線を合わせた。どこか勝ち誇ったような眼
差しの色が気に障る。
「な、なにを…」
「あんたを待ってたけど、あんまり遅いから遊んでたの」
「…何言ってるの!」
「別に気にしないで。悠は自分の興味のあること以外はこれっぽっちも関心を持たないか
ら。今していたのもただの遊び。それだけのことよ」
あっさりとそんなことを言ってのけると、乱れていた制服を直し始めた。こんな異常な状況
についていける筈がない。さっさと立ち去るべきだと本能が警告をしている。
なのに、足が根を生やしたようにここから動けないのだ。


「せっかく悠が待っていたんだから、遊びなさいよ。主賓でもあるしね」
まだ激しく息を弾ませたまま、あいすは視聴覚室の入り口で立ち尽くしたままの翠の手を
引いた。
「遊びって、主賓って…やああ!!!」
まだ完全に頭がついていっているとは言えない翠は、そうして完全にドス黒い企みの中に
呑まれていった。

「う…」
「ほおら、悠が触ってるのよ。こうされたかったんでしょう?」
「あ、違う、違…私はこんなのじゃ…」
あいすに後ろ抱きにされ、身動きを取れなくされて耳を噛まれながらも翠は更に抵抗しよう
と足掻いた。だが、目の前の悠が全ての判断を狂わせる。座り込んだ床の冷たさが、辛う
じてこの忌まわしい場面が現実であることを認識させてくれる。
いつも首から提げている、精子の入った玉は邪魔だとばかりに遠くへ転がされていた。心
配して翠を呼ぶ精子の声が時々聞こえてくる。
「期待してたんだろう?」
どんな時でも感情の見えない表情が今はひどく恐ろしい。この人ならば一生愛してもいい
と思ったのに、こんな風に扱われては端からぐずぐずに溶けていきそうなあやふやな感情
に変わる。
「こんなの嫌です、悠様やめて。私はもっと別の」
「別の、なあに?」
からかうように、あいすの舌がねっとりと耳を舐めてきた。
「どんな回り道をしたって、男と女だったらいずれはこうなるんじゃないの。だったら余計な段
階なんて不要よ。ましてあんたは」
制服の上から、ぐいっと強く乳房が揉まれて思わず声が上がる。
「い、痛いっ!」
「普段なら、こんな機会すら与えられなかったんだから」
「まあ、そういうことだな。珍しくその気にはなってやったんだから、とりあえずは感謝して欲
しいところだ」
スカートの中に手を入れ、ショーツの上から感じる部分を撫でてくる悠が、さも当然のように
あいすに同調した。
「そんな、そんな…悠様はそんなひとじゃ…」
「翠」
あいすよりも冷たい声がざらっと肌を撫でた。
「俺の何をお前が知っていると言うんだ」
「そんな、そん…」
かぶりを振りながら、抵抗を続ける翠の頭の中は再び混乱し始めていた。


「あ、うぅんっ…」
頭に血が昇りすぎているかも知れない。何だかくらくらしていた。
その間にも、悠とあいすの二人は今日手に入れた格好の獲物で愉しむべく、こなれた様子
で的確に制服を引き剥がしていく。
「やめて、もうやめてぇ…」
きっと、これは悪い夢。
そう何度も思おうとしても、首筋を吸い上げられたり乳房を舐められたりすればおぞましいほ
どに感じてしまう。これまでずっと男など好き放題貢がせ翻弄してきただけで、性の経験など
皆無だったにも関わらず。
いや、男をいいように弄びはしても体だけは純潔であることが何よりも自分の価値であると
信じていたのだ。簡単に許すほど安い女じゃない。いずれ自分にとって一番の相手が現れ
るまでは。翠は今までそうやって生きてきたのだ。それが正しいと信じきっていたのに。
「あ、あ、あぅ…」
意味をなくした言葉がむなしく翠の唇から零れた。
「あらあら、さっきまでの威勢はどうしたのかしら」
小馬鹿にするように、あいすが耳元で囁く。反論しようとしても、既に全部を二人に握られて
しまっている。それが分かっているから惨めな気分になった。
「うあっ!」
ハイとロウが行きつ戻りつする気分の高まりの中、いきなりロウの最中に足を 広げさせられ
た。ショーツはもう脱がされて、愛しい悠に全てを見られている。恥ずかしくて消え入りそう
だった。今後の翠の中のシミュレーションでは、近いうちに悠ときちんと付き合いを始めてか
ら、何度目かにここを許すつもりだったのに。女の子だったらみんなそう考えているのに。
「悠様、ダメ…私、もう嫌…」
ふるふると頭を振りながら、それでもささやかな抵抗をする翠がじれったいと思ったのか、悠
は物も言わないまま広げさせた足の中心に顔を埋めた。
「あああんっ!!」
途端に訪れる凄まじい快感。自分の指でしか触れたことのない部分が舐められている。事
実そのものは分かっていても、頭の中はとうにヒートアップしていてついていくことが出来な
くなっていた。
「あ、あ、あ…それだけは」
「…いい、みたいね。悠、もっとしてあげなさいよ」
嘲笑のようなあいすの声が耳元で響いていた。

もう、潤んでいる。
こんなにされては感じてしまって当然だ。
これ見よがしに煽りながらも、悠は指と舌で濡れ始めている部分を嬲っていた。柔らかな
肉を指先で押し広げ、誰も触れていない内部までを舌が探っていく。未知の感覚の筈なの
に、肌がひどく震えた。ふるっと真っ白い乳房が揺れる。
首筋を舌でなぞっているあいすが冷たく囁く。
「ほら、よく見なさいよ。あんたの大好きな悠がしてくれてるんだから」
「あ、あ…悠様、ダメ、そんなのダメだったら…」
「黙りなさいよ、もう諦めて愉しんだら?」
「あ、あん…嫌…」
煽られる、嬲り尽くされる。
今まで自分が男たちにしてきたことの仕返しをされているようだった。もうここから逃れら
れない。逃れようにもこの二人が満足するまでは終わらないだろう。
それに、翠もまたこの機会を逃せば悠にこうされることなどないと、今までの悠の反応で
心のどこかでは感じていた。そうして体と心に自分で何重にもブロックをかけながら、だ
んだんと翠は従順になる。
くすっとあいすが笑ったような気がした。
「いい子ね」

「あ…ふぁ…」
感じる部分を念入りに攻められて、もう翠は限界を迎えようとしていた。こんな風にいいよ
うに二人に扱われて、何一つ抵抗出来ないままでいることに、もう不本意など唱えられな
かった。既に深く感じているのだから。
「あぁ…悠様、悠様ぁ…」
「そろそろ、いいみたいね。悠」
「そのようだな」
翠の反応を見て取った悠は、ようやく顔を上げた。こんな時でもやはり無表情のままなの
がひどく悔しい。自分だけが冷たい二人の間で燃え盛っているなんて、と頭の隅でちらり
と考えたが、あっさりと霧散する。
ズボンの前をくつろげた悠が、さっきあいすを犯していたものを引き摺り出したからだ。
「…悠様…私もう」
「すぐにくれてやるさ、翠」
普段以上に居丈高な口調すらも、もう翠を昂ぶらせるだけだった。

「あ、悠様…」
すっかり蕩けきった部分にひどく硬い感触を感じて、思わず身をよじった。拒否しているの
ではなく、単なる本能からの恐怖だ。それを一笑するようにぐりっと先端を捏ね上げるよう
に擦りつけながら、少しの間戯れていた悠は頃合いを見て男など知らない内部へと強引
に突き込んできた。
身が竦む間もなく、激痛が翠を支配していく。逃れようにも、足を抱え込まれてしまってい
ては無駄だった。
「…いやああああ!!!」
情などないことを証明するように、少しも労わりのない遣り方だ。充分に濡れてはいるもの
の粘膜が悲鳴を上げるように軋んでいる。一度奥まで到達した後、慣らすこともなく激しく
突いてくる度に擦れた切ない悲鳴が喉から漏れた。あまりにも突き上げが激し過ぎて、呼
吸するのもおぼつかないほどだ。
「あ、ひぅ…く、悠さ…あああっ!」
快楽など、これっぽっちもない。ただ痛くて苦しいだけ。こんなことを誰もがしているのかと
思うと信じられないほどだ。ただ、今翠を犯しているのが悠だからこそ、何とか耐えられて
いるだけなのだ。
「あぁ…悠様…悠様のが私の中にぃ…」
こんなことをされても、それだけは変わりがなかった。
「あらあら、殊勝だこと」
乳房を揉みながら、あいすが吐き捨てる。
「ダメ、もう…私、ダメなのっ…」
悠にされている。ただそれだけが翠を一気に追い上げていった。同時に、じわりと熱いもの
が胸の中に込み上げてくる。こんな乱暴に扱われているのに、感じ始めているのが分かっ
て別の苦しさに変わったのだ。
「ね、ねえ…もう…ダメえええっ!!!」
熱い、苦しい。何も分からなくなりそうで恐怖の余り翠は絶叫していた。もうじき絶頂がやっ
て来ることも怖い。
「イきなさいよ、遠慮なく」
制服の中に潜り込んだあいすの手が、直接やわりと乳房を揉み、敏感になっている先端を
爪で強めに引っ掻いた。それだけでもひどく感じてしまい、びくびくと体を震わせる。
「あん!」
「これだけで?あんたも大した淫乱ね」

くすくすと笑う声が耳を撫でる。
気持ちがいい、こんなにされているのに気持ちが良かった。
もう全部が快感に変わって、翠は訳が分からなくなる。無理やり首を傾けられてあいすに唇
を吸われても、舌を差し入れられて口腔内をじっくりと嬲られても。その間にも、すっかり追い
上げられた体は限界を迎えようとしていた。
「翠、いくぞ」
短く告げられた声がすぐには認識出来なかった。
「あ、悠様ぁ…中はダメですっ、赤ちゃん出来ちゃいます…あぁんっ!」
そんな抵抗も、ただ緩く返すだけでは昂りきった悠には何の変化ももたらさないだろう。
「無駄だ」
一言で切り捨てて、悠は腰遣いを早めた。同時に凄まじい快感が浸透していく。気持ちがい
い、こんなに良かったことはこれまでになかった。
「ひゃあっ!!もう、ダメ…いやあんっ!!!」
激しく身悶えし、震えながらも翠はあっと言う間に昇り詰めていった。無意識に内部が引き絞
られたのだろう、ひどく熱いものが流れ込む感覚があった。中に出された屈辱も、悠なら構わ
ないとさえ思える。
「悠様、大好き、大好きぃ…ああ…」
陵辱でしかない行為でも、幸せだった。

「はふ…」
もうわずかも体力の残っていない翠は、床に転がされて少しの間喘ぐように胸を上下させるだ
けだった。これで開放された。もう帰れる。そんな安堵に満ちて。
だが、悠とあいすの二人がそう簡単にせっかく見つけた獲物を逃す筈がなかった。

「じゃあ次は私がいくわね」
「ああ、まあお手並み拝見といくか」
倒れている翠を冷たく見下ろしたあいすは全裸だった。いや、腰から男のものそっくりの物体
が生えたショーツだけを身につけている。
ぐったりとしている翠の、まだ何の後始末もしないままのそこを指で押し開くと、物も言わずに
腰から突き出ているものを挿入してきた。
「あああっ!」
まさか、またされるとは思ってもいなかった翠は、一気に意識が覚醒した。悠によって目覚め
たばかりの体が再び燃え上がる。
「…やっぱりね、あんたもただの淫乱だわ。実物じゃないものに犯されて、感じてるなんて」
冷たい物言いをしながら、あいすは更に膝を開いて内部へと入り込んでくる。一度味わった
快感がまた翠の中に蘇ってきた。堪らない、こんな快感に憑かれては微塵も我慢出来そうに
なかった。
「いやあ、嫌だったら。もう帰して…」
抵抗らしき言葉が口から漏れ出ても、それはもう許容でしかない。それが分かるからこそ、あ
いすも遠慮なく男そのもののように腰を動かして攻めてきた。
さっき感じた怒涛の如き快感が再び襲ってきて、目が眩むほどに気持ちがいい。こんなに良
かったら、もうおかしくなってしまうほどに。
「どう?こんなものでも最高でしょ」
「ああん、いい、分からないけどいい…」
正直、痛みはまだ残っている。まだ純潔を失ったばかりだから当然だ。なのにそれ以上の感
覚がこうして麻薬のように全てを奪って浸透している。
「いいって、悠。あんたも来なさいよ」
充分な反応を鼻で笑いながら、あいすは体勢を変えて翠を上にした。
「あ、な、に…?」
快感に霞む頭が疑問を形作る前に、悠は翠の腰を掴んで後ろを指で探り始めた。先程の激
痛を思い出して恐怖が蘇った。
「いや、そこだけはダメ、ダメです…」
「何が嫌なの?こことは違って中に出されても赤ちゃんの心配もないわよ」
せせら笑うようなあいすの声と共に、敏感になりきった柔らかな肉が乱暴に紛い物の男のシ
ンボルに掻き回される。
「あああっ!」
「そんなに悦んでいるなら、ここも慣らす必要はないな」
残酷な声が降ってくるなり、自分でも直接触れたことのない部分にさっき感じた熱くて硬いも
のがずぶりと突き刺さってきた。
「ああうっ、ダメえぇぇ…!!」
こんな風にされる場所ではないと思い込んでいただけに、これまで以上の苦痛とやるせなさ
で混乱するばかりだった。


「どう?いいでしょ。翠」
「こんな…こんなのは…」
「いいと言いなさい、ほら」
更に激しく突き上げられ、後ろからも攻められてもう何も分からなくなりそうだ。いっそ、その
方がいいかも知れない。もしかしたら既におかしくなっているのだろう。こんな風に好き放題
オモチャにされていても感じるなんて。
「はあ…はあん、いい、感じるの…」
「ほうらね、淫乱だこと」
崩れそうな腰を引き上げ、悠も黙ったまま内部を壊す勢いで激しく攻め込んでいた。痛いの
に、抱かれて感じているのは確かなことが翠のわずかに残された正気を剥離させていく。
もう、何でもいい。
一層狭いそこの締まりは格別なのか、すぐに悠は動きを早めてきた。ここにも出される、支
配される。恐ろしい筈なのに、ひどく甘美なものが胸を満たしていた。やはり、この人の虜に
なる運命なのだと思い知らされる。
「あは、ぁあんっ…!」
激しかった動きが一瞬にして止まった。粘膜を擦る感覚にあいすも一緒に達してしまうと、た
らたらと内股を精液が重く伝い落ちてきた。それをもう忌まわしいとも思わない。
「じゃあ交代しましょうか」
まだこの行為を続けるつもりなのか、あいすはあっさりと体を離した。

「ん、ん…」
今度はあいすが後ろを攻めてきていた。声も出ないまま、翠は強制されるままに硬く勃ち上
がっている悠のそれを舐めている。床は相変わらず冷たく、四つん這いになった膝が硬く擦
れた。
「しっかり奉仕することね、もしかしたら悠が続きをくれるかもよ」
開発されたばかりの二つの穴を交互に抜き刺ししながら、あいすは冷笑した。もう何の痛み
も感じない。ただ痺れるように熱く疼くだけだ。
「もっと奥まで咥えろ。そうだ」
機械的に頭を押さえつけるようにしながら、悠の冷たい声が聞こえてきた。本当にこの二人
は冷たい、心の底から冷た過ぎて吐き気がするほどだ。なのに昂ぶり過ぎている体にはそ
の冷気が心地がいいとさえ思えるのだから不思議だった。
硬い肉棒を咥えて舌でなぞりながらも、奇妙なほどに幸せで、この時間が永遠に続けばい
いとまだ思う。
「全く、いいオモチャを見つけたものね」
「うさばらしぐらいは欲しいだろう、お互いにな」
陶酔しきっている翠の上で、冷たい二人が遊びの続行のように唇を交わしていた。


それから、何度も二人に散々弄ばれた挙句、日が暮れる頃にようやく開放された翠はしば
らくの間、歩ける体力すら残っていないほどだった。もちろん、用が済んでしまえば二人は
さっさと気遣うことなく立ち去ってしまって、一人きりになっていた。

数日後の昼休み。
「翠たま」
「なによ、精子」
「この間のことは無防備過ぎたタマ。今後は気をつけるタマ」
どうすることも出来ずに一部始終を見ていた精子は、あれから更に口うるさくなった。ああ
うるさい、と思いながらも翠にとっては耳が痛いことこの上ない。あれはたまたま弱みを見
せたから二人に狙われたのだと、自分を納得させるまでには時間がかかったけれど、今
はもう簡単に言いなりになる気はなかった。
でもまあ、何だかんだで恋焦がれる悠とは関係が持てたことだし、その点では良かったか
も知れないとほくそ笑む。
どのみち、今後ちゃんと付き合いを始めればいいだけのことだ。
「翠たま」
突然、警告のように精子が叫ぶ。
何事かと振り向いた翠の目に映ったのは、あいすの姿だった。氷そのもののように冷た
く硬い表情が悔しいけれど美しい。
「…何よ」
「あら、警戒しなくてもいいじゃない。また遊ぼうって言ってるわよ、悠が」
「悠様が?」
「ええ、この間と同じ時間と場所で待ってるわ」
用件だけ短く告げて、立ち去る上級生の姿を翠はただ目で追うばかりだった。今日もお膳
立ては出来ている。自分はそこに行けばいいだけとなって。
もしも自分が行かなくても、あの二人には何の差し障りもない。まあ構わないと淫らな遊び
を続けるだろう。それだけは何だか癪だった。
この間のようなことが、再び起こるかどうかは翠の手に委ねられている。



終わり

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