悠×あいす リスキーゲーム 2006/04/04(火) 00:55:31 ID:yaef4FxP


新学期が始まった。
桜の時期も過ぎた頃から汗ばむことも多くなっている。
日差しも随分強くなってきたから、油断をすれば確実に体力が落ちる。
今日は食事当番だから放課後になったらなるべく早く帰って支度をしよう。
そんな、とりあえず今は関係ないことを考えながら、あいすは動かせない腕を無理に捻ろう
としていた。その動きを間近にいるからこそ察したのだろう。
「無駄だ」
わずかな抵抗も許そうとはしない少年が、あいすの目前で告げる。

別に何の弱みを握られている訳ではない。
わずかも好意を持ってはいない。
そんな感情の非密着感は性質的に嫌いではないから、こんな風に関わっているだけだ。もし
どうしてもこの行為に違和感や嫌悪感があったとしたら、すぐさま氷漬けにしてしまえばいい
だけのこと。
どのみち、ただの遊びだからお互いに気楽なものだ。
だが、腕が少し痛くなってきている。
頭の後ろで組む形で縛られている手首から、鈍い痛みが広がってきているのだ。壁を背にす
る形で立たされたまま、もう十五分が経過している。科学室の掛け時計を眺めながら、いつ
までこんなことをしているのかとあいすは溜息をついた。
途端に不自由な腕が軋む。
「…うっ…」
「何だ、うるさい」
足元に膝をついてあいすのスカートを捲り上げ、ショーツの上から既に反応を始めている箇所
を執拗に意地悪く舐め続けている悠がわずかに不機嫌な声を出す。
「腕が痛いわ」
「我慢しろ、それぐらい」
「こんなことをして…跡が残ったらどうするの」
「…ふん」
少年は鼻で笑ってあしらった。

「それをわざわざ人に見せるお前か?」
ぐっと詰まった。
確かに、その通りだ。悠はあいすの気性を見越して何もかもを仕掛けている。それが癪に障っ
て思わず身を捩った。
「何をしている」
「…離して。つまらない恥をかかされるぐらいなら、もうこんなことは」
「今更なことだ」
表情こそにこりともしてはいないが、まさにそれは嘲笑といってもいい言葉だ。何よりも嫌いな
ものをあからさまにぶつけられて、あいすは怒りで我を忘れそうになった。こんな手首の戒め
ぐらい、その気になれば簡単に外してやる。
そうたかをくくっていたのに。
「…ん、嫌っ…」
再開された愛撫が全てを押し流してしまう。こんなにたやすく快楽に流される体になってしま
っていたことは只の堕落でしかないのに、それでも理屈ではないとばかりに与えられるものを
欲して一度ついてしまった欲望の火は燃え盛るばかりだった。
「ダメ…やめ、なさい…」
わずかな強がりで声を張り上げても、当然悠には通じてはいない。せせら笑うように布越しで
もはっきりと変化をしている淫核を舌先で刺激し続けている。
「…あ、あ…」
ぬるりと流れ出てくるものの感触を感じて、あいすは内心焦った。こんな風にされていては濡
れるに決まっている。そして、悠ならばもう気付いている筈だ。こんな恥ずかしい姿を晒すのは
ひどく屈辱だ。そんな気持ちを知り抜いているように悠は冷たく吐き捨ててくる。
「ザマがないな」
「…仕方ないじゃない」
はあ、と熱い息を吐きながらあいすはぽろりと涙を流した。快感が極まったせいなのか、こんな
ひどいことをされているのに高まっている浅ましい自分の体に絶望しているのかはさすがに分
からない。
ただ、いつまでもこんな風に緩い愛撫を続けられるのは我慢がならなかった。
体の中に溜まりきっている熱がわずらわしくて、気だるくなった首を一振りしてみた。

ショーツが濡れきって使いものにならなくなる前に、承諾も得ないまま脱がされていく。やめて
とはもう言えなかった。ぴちゃ、としきりに蜜を零しているそこを直接舐められたからだ。声も出
ないほどに気持ちがいい。そして今すぐにでも狂ってしまいそうだ。
「あ、あは……ん、んぅっ…」
もう意味のなくなった声を上げながら、あいすは手首を戒められたままで喘いだ。どうなっても
いい、もうどうなっても。体の中の熱が熱い刃物のように駆け巡ってあいすの意識をずたずた
に切り刻んでいく。
「う、ん…くっ…」
「あいす」
相変わらず醒めた声が急に上から降ってきた。それまで閉じていた目を開く間もなく、ぐいっと
強引に髪を掴まれて上向かされる。
「あ、何、を…」
驚いて声を上げかけた唇が塞がれた。途端に何かぬめりのあるものが喉へと一方的に流し込
まれる。咄嗟のことで、つい飲み下してしまった。
「……何、これ」
やや顔を離して少年はほんのわずかに笑ったような気がした。あくまでも、他の者なら気付か
ない程度で。
「分かるだろう、お前が垂れ流したものだ。責任を持って飲め」
「…!何てこと…」
思わず素の自分が現れてしまった。
信じられないことをする、と思った。自分の欲望を満たす為ならこの少年はどんなことでも仕出
かすだろう。今更ながらにそれが分かって、あいすは身震いするほど恐怖していた。その反面、
これほど面白いこともないと腹をくくる。
ただの遊びであるならば、あくまでも刺激的で何があるか分からない方が遙かに楽しいに決ま
っているのだから。

「…あんっ、あ…はぅぅ…」
剥き出しにされた乳房が淡い紅色に色付いていた。
気持ちいい、本当にこれほど気持ちがいいことなど今までなかった。
まだ手首を戒められたままで、あいすは少年の欲望をを受け入れて喘いでいた。こんなにいい
ことが与えられるなら、もう決して抵抗などするまい。それほどに今浸りきっている快楽は魅惑
的で全ての感覚を狂わせた。
「あいす」
たとえ声も表情も無愛想でも、体内を深く貫いてくるものがこの上なく熱く猛りきっているならば
何も問題はない。右足を抱え上げられ、深く腰を突き入れられながらもあいすはただ獣に返っ
たように感じ入っている快楽に浸っていた。
短い昼休みはもうすぐ終わろうとしていた。


「じゃあね」
身支度を済ませて何事もなかったようにあいすは一足先に科学室を出た。
遊びであるならば、終わった後は未練たらしく残る必要もない。その気もない。元より相応の情
けをかけられている訳でもないのだ。
これで終わるかも知れないし、案外まだ続くかも知れない。極めて不確定な関係だったが、そ
の方が都合がいいに決まっている。
「ああ、またな」
おざなりに投げつけられる声があいすのプライドを少しだけ傷つけたが、そんなことはどうでも良
かった。早くここを出てしまえれば。
だから、その時のあいすは自分の失態に気付かなかった。
悠が科学室の目立たない箇所にビデオカメラを設置していたことを。そして休み時間にここであ
ったことが全て撮影されていたことを。








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